禁煙治療
タバコが体に良くないことを知らない人はほとんどいないでしょう。また、最近では、ほとんどの公共の場所で喫煙が制限されていますし、値段も上がる一方です。
厚生労働省の調査によると、習慣的に喫煙している人の65.9%はタバコをやめたい、もしくは本数を減らしたいと思っているものの、85.4%が禁煙は困難だと感じています。吸い始めはいつでもやめられると思っていたのに、いざ禁煙しようとするとそうは簡単には行かないのはなぜでしょう。これは、タバコの煙に含まれるニコチンが、麻薬にも劣らない強い依存性を持つからです。つまり、習慣的に喫煙するということは、ニコチン依存症という病気であるということです。多くの病気が本人の意志の力だけでは治せないのと同じように、ニコチン依存症も意思の力だけで治すことは難しいのです。当院では、主に内服薬を使った12週間の禁煙治療プログラムを行っており、毎回の受診時には、医師の診察の他、タバコを吸いたくなったときの対処法など、専任の看護師がアドバイスしています。今度こそ禁煙しようと思ったらお気軽にご相談ください。
ニコチン依存症
ニコチン依存症
タバコを吸うという行為がどのようにしてニコチン依存症になるかご説明いたします。
タバコを吸うとニコチンにより快感を覚える物質(ドパミン)が出ます。ドパミンが出ると、快感を得るのと共にもう一本吸いたいという欲求が生じ、その結果次の一本を吸って快感を得て、さらに次の一本が欲しくなってしまう悪循環が生まれてしまうのです。
この状態をニコチン依存症(≒喫煙の習慣)と言います。そして、このニコチン依存症は風邪など自分の意思で治せない病気と同じように、病気であるニコチン依存症を自分の意思だけで治すことは難しいということです。最近では禁煙治療が健康保険で受けられるようになるなど、ニコチン依存症を治す為の環境ができつつあります。もしあなたが禁煙を始めようとするなら周りの人や医師の協力の上で禁煙してみましょう。
ニコチン依存症のチェック
下記10項目の質問に対して、チェックが5つ以上の場合はニコチン依存症です。
あなたのニコチン依存症チェック
- 自分が吸うつもりより、多い本数タバコを吸ってしまう。
- 過去に禁煙を試してみたが断念したことがありますか?
- 禁煙や本数を減らそうとすると、タバコが欲しくてたまらなくなることがありましたか?
- 禁煙や本数を減らした時に、(イライラ、神経質、落ち着かない、憂鬱、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲または体重増加)などがありましたか?
- 上記で出てきた症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
- 重い病気にかかった時にタバコは良くないとわかっているのに吸うことがありましたか?
- タバコの為に自分に健康問題が起きていると分っていても、吸うことがありましたか?
- タバコの為に自分に精神的問題が起きていると分っていても、吸うことがありましたか?
- 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
- タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか?
あなたは何個チェックがありましたか・・・?
お医者さんと禁煙する理由
専門医師があなたの禁煙をサポート
喫煙者の70%はニコチン依存症です
タバコをやめたくてもなかなかやめられないのは、ニコチンが持つ強い依存性のせいで、治療が必要な病気とされているからです。
ですので、自分の意思ではなかなかやめられる物ではありません。専門医師と新しい薬の力を利用して禁煙をして行きましょう。当院では一人ひとりの患者様に合ったアドバイスをさせていただくのと同時に、禁煙に関係する生活習慣の改善方法などを相談させていただいております。新しくできたニコチンを含まない飲み薬を使い、より簡単に禁煙治療が行える環境を作って行きます。
健康保険が適応されます
ただ、禁煙治療を健康保険を使って受診する場合は、ある一定の条件を満たす場合に限ります。まずは専門医師が初診時に確認させていただきます。
もしこの条件を満たさない場合であっても自由診療という扱いで禁煙治療を受けることができます。
確認事項
- ニコチン依存症を診断するテストで5個以上YESがあったかどうか
- (1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上
※例えば25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら15(本)×20(年)=300で対象になります。 - 1か月以内に禁煙したいと思っている
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意できるかどうか
※説明内容に納得された時は、文書等で同意のサイン等をいただきます。
禁煙治療の流れ
対象者の受診までの流れは?
- 他の疾患で受診している方
- 何らかの基礎疾患で治療中
- 医師からの禁煙治療の説明と推奨
- 患者様から禁煙治療の希望
- 初めて受診される方
- 禁煙治療を希望して新規に受診
- 医師からの禁煙治療の説明
対象者のスクリーニング
条件1: ただちに禁煙しようと考えていること
条件2: TDS(※1)によりニコチン依存症と診断(TDS 5点以上)されていること
条件3: ブリンクマン指数(※2)が200以上であること
条件4: 禁煙治療を受けることを文書により同意していること
禁煙治療へ
- 初めて受診される方
- 禁煙治療を希望して新規に受診
- 医師からの禁煙治療の説明
対象者のスクリーニング
条件1: ただちに禁煙しようと考えている事
条件2: TDS(※1)によりニコチン依存症と診断(TDS 5点以上)されている事
条件3: ブリンクマン指数(※2)が200以上である事
条件4: 禁煙治療を受けることを文書により同意している事
- 自由診療による禁煙治療を希望する
- 自由診療による
禁煙治療
- 自由診療による禁煙治療を希望しない
- 簡易な禁煙アドバイス
や資料の提供
禁煙治療のスケジュールは?
禁煙Q&A
- 禁煙者はすべてニコチン依存症なのですか?
- いいえ、禁煙をしていてもニコチン依存症ではない人もいます。まだタバコを吸い始めたばかりの人や、たまにしか吸わない人はニコチン依存症の可能性は低くなります。
- 禁煙治療は健康保険等が使えるのですか?
-
下記の要件を全て満たす方は、禁煙治療を健康保険等で受けることができます。
- ニコチン依存症を判定するテスト(TDS)で5点以上
- [1日の喫煙本数×喫煙年数]が200以上
- 1ヵ月以内に禁煙を始めたいと思っている
- 禁煙治療を受けることに文書で同意(サインなど)
要件を全て満たさなくても、自由診療で禁煙治療を受けられます。
- 医療機関で禁煙治療を行えば必ずタバコをやめられますか?
- 医療機関で禁煙治療を行えば正しい禁煙手順で治療を進めることができますが、大事なことは必ず禁煙したいという患者様の意思です。
- 禁煙が成功すると生活習慣病などにかかりにくくなりますか?
- 禁煙を成功させるのとタバコを吸い続けるのでは当然、生活習慣病になるリスクは変わっていきます。
- 以前、健康保険等で禁煙治療を受けても禁煙できなかったのですが、また健康保険は使えますか?
- 前回の禁煙治療から1年以上が経過していれば、再度健康保険を使っての治療が受けられます。1年未満の場合は自由診療となります。
- 現在入院中ですが健康保険を使って禁煙治療は受けられますか?
- 入院中は、禁煙治療に健康保険等を使うことはできないため、自由診療となります。
なお、医療機関内はほとんどが禁煙ですので、入院予定のある方は、医師と相談の上、早めに禁煙治療を受けることをお勧めします。
- 12週間経過する前に禁煙が成功してもクリニックに受診しに行かないといけませんか?
- 途中で医療機関に通うのをやめてしまった人より、禁煙治療を最後まで全て受けた人の方が禁煙を続けている割合が高い傾向がありますので、医師に相談なく治療を中断するのは避けた方がよいでしょう。
- どの医療機関でも禁煙治療に健康保険等を使えるのですか?
- 自由診療のみで禁煙治療を行っている病院もありますので、事前に調べることをお勧めいたします。
- 禁煙治療の費用はどれくらいかかりますか?
- 院外処方で標準的な保険診療(5回の診察)の場合、自己負担額3割のとき、チャンピックス(12週間の処方)で約20,000円、ニコチネルTTS(8週間の処方)で約14,000円になります。
チャンピックス | ニコチネルTTS | |
---|---|---|
初診料(1回)+再診料(4回) | ¥7,700(税別) | ¥7,700(税別) |
ニコチン依存症管理料(計5回) | ¥9,620(税別) | ¥9,620(税別) |
薬剤料 | ¥37,660(税別) | ¥20,730(税別) |
院外処方せん料 | ¥2,720(税別) | ¥2,040(税別) |
調剤料 | ¥6,600(税別) | ¥4,120(税別) |
合計 | ¥64,300(税別) | ¥44,210(税別) |
自己負担額(3割のとき) | ¥19,290(税別) | ¥13,263(税別) |