JFLの松田選手が急性心筋梗塞で亡くなりましたが,当院でも最近,胸痛で受診される患者さんが続きました。循環器内科を標榜しているせいもあるでしょうが,2週間で4人も不安定狭心症(心筋梗塞の一歩手前)で近隣の総合病院に紹介し,1人はバイパス手術,3人はカテーテル治療になりました。

狭心症や心筋梗塞は,心臓の筋肉に血液を送っている冠状動脈の流れが悪くなって起きる病気です。一般的には寒い時期に増えますが,夏の暑い時期には脱水で血液が濃くなっても起きると考えられます。とは言っても,まったく正常の血管が脱水になっただけで詰るとは考えにくく,元から動脈硬化のある部分が急に閉塞すると考えられます。

自分は今まで心臓の病気はしたことがないし,血液検査でも異常は指摘されたことがないので大丈夫かと言うと,そんなことはありません。

今回の松田選手も,プロのスポーツ選手で,同年代の一般人よりはメディカルチェックはきちんと受けていたはずです。

先ほど,”まったく正常の血管が脱水になっただけで詰るとは考えにくい”と書きましたが,どんな人でも生まれた時から,徐々に動脈硬化は進んでいます。つまり,まったく正常の血管を持っている人はまずおらず,あるのは動脈硬化の程度の差だけです。そして,高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙といった動脈硬化の危険因子があると,より病気になりやすくなります。

夏の心筋梗塞を予防するには,水分補給で脱水にならないように気をつけるのも大事ですが,それ以上に,日頃から食事,運動など健康に気をつけた生活習慣を心掛けるのが重要です。

平井クリニック